全日本選手権GP250 Hehkel・プラスミューレーシング関口太郎のレーシングメカニック日記IN鈴鹿
初日
この日、トラックは関口太郎選手が自ら運転し チームの荷物を載せたステップワゴンは草間さんが運転。海老名SAにて夕食?というか朝食というかを採りました。
その後、途中小休憩をはさみながら11時頃ようやく鈴鹿に到着!!その間私は「・・・いろいろ作戦をシミュレーションしながら・・・」すみません!眠ていました。 みなさんすいません!
14時まで は鈴鹿のパドックが開かないとのことなので、とり急ぎ鈴鹿市内のショッピングセンターにて昼食を済ませました。みなさんとても眠そうで、ホントにホントにスイマセン・・・。
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予定の14時前から搬入を開始しピットの設営をスタート。驚くべきはその設営のスピードです。噂に聞いていたけれど、みんな慣れた動きでテキパキと何とも速いその設営。カーペットをひいてパーテーションパネルを組み上げ工具を搬入、そして休憩・・・とその時突然トラブル発生!シリンダーのデトネーション修理を頼んでいた所からエンジンがまだ到着していないことが発覚。これはピンチ!!
レースなのにエンジンが無い?走れない?途端に、場の空気が一変し、ピリピリモードでの設営に。みんな私には気を使って普通に接してくれていましたが「明らかにピリピリ」モード。仕方ないかも。エンジンがないのですから。
設営もろもろ準備を続けているところにようやく待ちに待ったエンジンが到着。まずは一安心!!で、そのシリンダーを見ると・・・「シリンダーの横っ腹に吸排気ポートの開いた2ストローク独特のシリンダー」でした。毎日ショップでバイクの整備をしている私でも滅多に見なくなった2ストロークシリンダーです。1人どこか懐かしさを感じてしまいました。しかし、これはレースエンジン、毎日私が見ている2ストバイクとは全く異なるパワー90馬力。これは懐かしいとか言っている場合ではありません。ゾクゾクするものがありました。
「ポート変えたんだ〜」とチームの山田さん。
「・・・・」見ただけでわかるのかすごい。
その後、エンジンを組み上げ・・山田さんがTZを押しました!!
けたたましい金属音と共に青白い煙が吐き出されTZがいよいようなりをあげました!!低回転から高回転 中速から高回転。エンジンと会話するかのように山田さんはTZのうなりに聞き入ってました。
「いよいよ明日・・・」エンジンを見ながら思いました。
帰り際 関口太郎選手にピット裏側ヘンケルエリアの見栄えを良くしてほしいと指示された私。
「そういうのって大事なんですね」と私。
「うん大事・・すごく大事なこと・・人からお金を貰って走るんだから当然大事」と関口太郎選手。
走らせて貰っている・・そのことに対する関口太郎選手の人一倍の強い想い、気概にふれた気がしました・・いよいよ明日から走行開始。晴れるといい・・・そう思いながら初日を終えました。
2日目
9−5金曜日
サーキットのアンダーパスが滝のようになるくらい朝からドシャ降りの雨。ピットから見るコースの映像はまるで川。レインタイヤにウォーマーを巻いて練習走行時間を待ちます。
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「ウォーマーを巻くのはやっぱり暖まった方がグリップは高いからですか?」と聞く私。
「それもあるけど内圧の管理がね。大事なんだよ」と山田さん。
雨を眺めながらいろいろと伺いました。
天気は回復傾向。いよいよ走行開始!!ハーフウェットの状態でスタート、タイヤはフロントレイン&リアレイン。さすがは関口太郎選手、ずっと1番時計をマーク。途中から宇井選手や高橋選手が競り上がってきて順位は落ちましたが、タイム的にはまずは上々といったところ。
戻ってきたタイヤを見てビックリ、タイヤサイドがデロデロになりめくれ上がっていました。ほとんどドライになりかけていたところでのレインタイヤ。タイヤと天候によってここまで変わるのか、を目の前で実感しました。
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プチ反省会と作戦会議。その始終を尻目に私は外したタイヤとカウリングの洗浄中。飛び散ったタイヤカスを綺麗に綺麗に!その後ブレーキキャリパーの清掃。ピストンを押し出して中性洗剤でよく洗い、ブレーキフルードを塗布。各摺動部にブレーキグリスを塗布して、ワイヤーロックを施して終了!
掃除でも関口太郎選手が一番率先してピットを綺麗にしていたのが印象的でした。明日は公式予選です。
3日目
9−6土曜日公式予選
ピットウォーク。ギャラリーが次々と関口太郎選手の所にやってきて、サイン、握手、記念撮影。なかなか忙しそうな関口太郎選手。
ピットウォークからGP250までに間があります
「結構あいだ開きますね」と聞くと
「2ストだからね。消え行くクラスだから間が空くんだよ」とのこと
そういえばそうです。規制によりカン高い2ストロークの金属音が聞けなくなると思うとほんとに寂しい限りです。
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14時予選開始。
関口太郎選手いきなりの2分15秒台!! ストレートスピード234キロ!!コーナーも速いがマシンもイケル!!タイヤを替えてまたトライ!!結果は5位!!タイムは214,458。
宇井選手、高橋選手、山崎選手、濱本選手に続いて5位。一位との差は0,874!!明日はいける!と思いました。
今日もブレーキキャリパーのオーバーホールです。
少しでも制動力が上がって、コントロール性が良くなるように!!と願いながら作業しました。
その夜の反省会&作戦会議で、まだセッティングは完璧とは言い難いけど「タイヤも良くなっているし車体もまとまってきた」との事。明日の決勝はどうなるのか、今から楽しみです。
「レースってのは妥協の集合体だよ、限られた時間でどれだけベストに近づけられるかって事だよ」作戦会議での一言が頭に残りました。
4日目
9−7日曜日 決勝
朝から快晴の絶好のコンディション。ですが、午前中ピットの草間さんと山田さんがTZをはさんで難しい表情・・何と「シリンダーにキズが入ってる」との事。
緊急でシリンダーをサンドペーパーで修正の完全手作業。
私はその間に関口選手に頼まれたスクリーンのキズをコンパウンドで修正。
「このスクリーンの視界なんて一般道ではあまり気にしないよなぁ・・やっぱりここはレーシングフィールドなんだなぁ」と改めて実感しました。
シリンダーのキズもいい感じに修正完了!
ST600JSB1000と続き結晶のピットウォークの時間がきました。
我らが関口太郎選手は昨日と同様大忙しです!と、その時、メインストレートをかん高い2ストーロークのエキゾーストノートが通り抜けていきました
関口太郎選手が「あれっ!?YZR!!?じゃない!!?」と言うやいなやメインストレートに向かってもうダッシュ!「オー!スゲー!!スゲー!!」を連発(笑)
これは本当にすごい!!YZR500だけでなくNS500,NSR500も一緒に走っています
しかもYZR500に平忠彦選手!NS500に宮城光選手!NSR500に鎌田学選手!!
3台のランデブーに会場を魅了していました。
ついに決勝です。にわかに上がった気温と湿度に合わせてジェットの番手を変更!
関口太郎選手がTZに跨り山田さんがテールカウルを押し出します!戦闘機の発進のようなその姿に惚れ惚れしました
まずは一周しスターティンググリッドでの選手紹介と続きます。TZにリアスタンド掛けウォーマーを巻きます
「ついに始まるな・・・」
コースアウトのオフィシャルの声と共にスタッフは退場。ここから先はライダーの孤独な勝負です。フォーメーションラップを終えてスターティンググリッドに関口太郎選手が到着。
スタートコールと共に一斉にスタート!!
第一コーナーに飛び込んでいく各ライダー!さあ関口太郎選手は!?
「五番手!」
まずまずといったところか!
そのまま周回を重ね濱本選手を抜いて3番手に!
ピットでテレビを見ていると横からカメラマンの方が「レース中の太郎さんは、はやいでぇ!見ててみ!どんどん引っぺがすから!!」と。
本当に速い!後続の濱本選手をジリジリと引き剥がします!!
そしてそのままチェッカー!!
3位!!お立ち台です!!
先頭の二人には届きませんでしたが関口太郎選手の戦闘力を見せてもらいました
「次はみんなを一番上に連れて行く」と関口太郎選手。かっこいいなあと何度も思いました。もう一度世界で戦う関口太郎選手を見たい!そう思いました。
帰り際に一言関口太郎選手が
「3位かあ〜次だ次!・・でも、ごっちゃん(私です)に表彰台を見せれて良かったよ!」
と言ってくれ何よりも嬉しかったです。
帰りも関口太郎選手がトラックを運転、草間さんがステップワゴンを運転。
私?私はバッチリ起きていましたよ。
疲れたそぶりも見せず「ありがとう!!すごく助かったよ!またね!」との気軽な関口太郎選手の声。激闘の中でもこの気さくな人柄に「この人は・・・すごい」そう何度も思いました。
関口太郎選手、プラスミューレーシングの皆さん本当にありがとうございました!
ソックス川越店 後藤遥


